20世紀後半においては、食習慣の乱れが様々な生活習慣病の根源であるとされ、2010年頃まではカロリー制限食が健康増進や寿命延伸によいとされがちでした。
しかし、2010年代になり、かつてのカロリー制限食が寿命を延伸したとする細胞実験や動物実験においては、対照群が高糖質の環境にさらされ、介入群においては、カロリー制限と称して適正糖質の環境にさらされていたことが注目されるようになりました。
ヒトにおけるカロリー制限介入が、継続率の悪さや貧血・骨密度低下・筋肉量減少といった点から問題視されるようになる中、真の健康増進食・寿命延伸食とは何かを改めて考え直す必要に迫られています。
GRACE研究は、食事・血糖状況(平均値や変動の大きさなど)・体内の糖化状況・酸化ストレス・老化過程の進行の具合などの関係性を検討しようとするものです。
抗加齢医学の世界では、Happy People Live Longerという概念があります。GRACE研究を通じて、私が目指す「美味しく楽しく食べて健康になれる世界、長寿を目指せる世界」を実現させるための重要な知見が得られるものとワクワクしています。